寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

リスクとチャンスは裏表(2015年6月)

スターバックスがよく例に出されるが、顧客はコーヒーを飲みたいからでなく、スターバックスが提供する空間、ソファー、音楽などを気に入って訪れる。総じてスターバックスは顧客に体験を提供していると言われる。これは新しいことでなく、意識せずに私たち…

無理しても一流に触れよう(2015年5月)

運良くチケットを入手し、ポール・マッカートニーのジャパン・ツアーに行ってきた。昨年は来日しながら体調不良で公演中止に。1年ぶりの来日で今回は大阪発となった。6時半の開演予定が、なかなか始まらず心配をしたが45分程遅れで開幕。せっかちな関西人…

眠るEC鉱脈を探そう(2015年4月)

昨年末急に旅行を思い立ち、あきらめ半分でネットで検索した所、運良く香港の空き枠を見つけることができた。出発まで一週間もないくらいであった。ネットで探した案件を電話で旅行会社に申し込む。その後申し込み画面のメールが届き、必要事項を入力しカー…

ストーリーが気持ちを揺さぶる(2015年3月)

最近、記憶が怪しくなっている。頭でわかっていても言葉が出てこない。同年代が集まった会話は、あれとかそれとかでも妙に通じるのだが、周りからは意味不明、そんなことが増えた。忘れるのも能力の一つと開き直っているがこれまた迷惑な話だろう。人には記…

コミケに学ぶ次世代のあり方(2015年2月)

「知られざるコミケの世界」という特番をNHKがやっていた。コミケという言葉は聞いたことがある程度で、マニアの間で盛り上がっているイベントくらいの認識であった。テレビを通じてであるが、その規模や熱気を知ると”知られざる”というタイトルはファンの方…

1945年の終戦と2020年の五輪(2015年1月)

毎年1月のコラムは、元旦の朝刊について書くことが多い。どの新聞社も入念に準備した特集が多く、これからを考えるヒントにあふれている。今年はどんな刺激に出会えるか、早めに一人起き分厚い朝刊を読むのが、ささやかな楽しみの一つになっている。 2015年…

科学の進歩とその忘れ物(2014年1月)

毎年新年の朝刊を楽しみにしている。少し早めに起き、未来を予測する特集をゆっくり読むのが恒例になっている。昨年は位置情報とITが社会を変えるという話。一昨年は新世代の若者が柔らか頭とITで、世界の問題を解決するという話が印象に残っていた。今年もI…

人間万事塞翁が馬(2014年12月)

毎日の通勤に使う電車が、最近めでたく全線高架に変わった。数年をかけて順次高架工事を進めていたのだが、最後の区間で巨大な工場が私の目の前に突如として現れた。眠気まなこで通う朝、見たことのない風景に「えっ今どこっ」と目が覚めたほどである。30年…

みんな同じは気持ち悪い(2014年11月)

様々なものがネットにつながり、膨大なデータが集まるようになった。またそれを処理する能力も飛躍的に進化した。このビッグデータは第二の資源とも呼ばれる。石油が私達の生活を変えたように、ビッグデータはそれ以上の変化をもたらすと期待される。データ…

共通規格とローカライズ(2014年10月)

ユニクロが吉祥寺に都内最大級800坪の新店を開店した。この店舗が注目されているのは、規模でなく初の地域密着型という点だ。ご存知の通りユニクロはファストファションの代表で、全国どこでも同じ商品、同じ価格、同じ環境で買い物ができる安心感を売り物に…

ふたつの「レ・ミゼラブル」(2014年9月)

1985年のロンドン初演からミュージカル史上最長ロングランを誇る名作「レ・ミゼラブル」。日本でも東宝が1987年に初演、歴代の役者さんがキャストに名を連ね、ご覧になった方も多いと思う。2012年にはヒュー・ジャックマンが主演した映画版「レ・ミゼラブル…

置き換えの習慣(2014年8月)

1カ月にわたって開催されたワールドカップもドイツの優勝で幕を閉じた。日本は大会前の評判は高かったが、残念ながら予選リーグで勝利することなく敗退した。敗因や今後については、メディアやネットだけでなく人が集まる多くの所で議論されている。サッカー…

わかもの、よそもの、かわりもの(2014年7月)

いつの時代も停滞を打ち破り新しい時代を拓くのは「わかもの、よそもの、かわりもの」と言われてきた。今時の若い人、ゆとり教育世代は・・・とよく耳にするが、これは今に始まったことではない。昔から繰り返し、それぞれの世代が同じことを言われ、そして…

ひと回りして、やっぱここがいい(2014年6月)

グランモール大阪やハルカスなど、大阪も東京に負けじと開発が進む。産官学連携や日本一高いビルなど話題も豊富で、集客も上々のようである。こうした所もいいが、今一番行ってみたいと思わせてくれる所が出てきた。文の里商店街だ。大阪の南に位置する下町…

感動は主と客の共同作業(2014年5月)

”JAPANIES ONLY”という垂れ幕を放置した責任を問われ、Jリーグ史上初の無観客試合を行うことになった浦和レッズ。人種差別のコメントを擁護する意識など全くなかったと思う。差別に対する認識のなさが、責任問題になった。この意味は大きい。意思を表示した…

絞ることが結果的に広がる(2014年4月)

商品企画や販売を考える際、少しでも広く、あれもこれも外せないと欲張ることが多い。得るよりも失う方がショックが大きいからだ。理屈でわかっていても、失う被害を最小限にしたいという意識が働いてしまう。また打合わせや稟議を重ねる中で、参加者の意見…

小保方さんと山中さん(2014年3月)

理化学研究所の小保方晴子さんらが開発したSTAP細胞のニュースは衝撃的であった。まだまだこれからの研究だろうが、夢の万能細胞がこれまでの常識を根本から覆すシンプルな手法で開発された。しかもその中心人物が日本人の若い女性研究員という痛快なニュー…

外へのチャンス、外からのリスク(2014年2月)

夢物語だった眼鏡型のグーグルグラスが発売されたり、ジョウボーンやナイキのリストバンド型活動量計の普及により、今年はウェアラブル元年と言われている。先日アメリカで行われた家電見本市では、ソニーがライフログツール「Core」を発表し、リストバンド…

変わるものだけが次に進める(2013年12月)

先日ブロックバスター閉鎖の小さな新聞記事を見つけた。かっては米レンタルビデオ最大手で、ツタヤはこのビジネスモデルを日本に持ちこんで成功した。ブロックバスターのおかげで、私達は映画や音楽を手軽に楽しめることができたともいえる。恩恵をたっぷり…

2020年東京五輪に思う(2013年11月)

今年の10月10日は、最も遅い真夏日という異常な暑さであった。この日は長く体育の日として親しまれ、清々しい日であることが多かった。体育の日ができたのは、1964年の東京五輪の記念であった。先日10日の新聞には「世界中の青空を東京に持ってきてしまった…

日本代表ソニーの逆襲(2013年10月)

2020年オリンピック・パラリンピック東京開催の決定。パソコン2台で打ち上げ管理をする新ロケット「イプシロン」の成功と、久々に日本中を元気にするニュースが続いた。誰かがメダルをとると、いい流れが伝染し次々とメダルをとるのに似ている。福島の原発…

成果をあげる3つの方法(2013年9月)

スポーツ選手がパフォーマンスを上げるためにやれることは何か。◎練習の量や質を高めて力をつけること。◎もっている力を十分発揮できるよう身体を上手に使うこと。◎状況をすばやく掴み正しく判断すること。この3つが一般的である。これまで多くの指導者は、…

無用の用、緩さを考える(2013年8月)

小学生の頃だったと思うが「無用の用」ということわざを学んだ。ご承知の通り、一見必要ないと思うものでも間接的に役にたっている、この世に無用なものはないという意味だ。その時の先生が話してくれた例えが印象的で、こうして長く頭に残っている。平均台…

サービス化いつやるの?今でしょ!(2013年6月)

「いつやるの?今でしょ!」で超有名になった東進スクールの現代文講師の林修先生。先生がテレビ番組に出ることで、最近の予備校事情を知る事になった。私が知らなかっただけかも知れないが、予備校の風景は思いもかけないものであった。みなさんは予備校の…

イノベーションが市場を大きくする(2013年5月)

ネスレのコーヒーマシン「ネスカフェゴールドブレンドバリスタ」が売れている。「手軽に飲める本格派家飲みコーヒー」がコンセプトで、価格は7,980円と思わず手が出そうな価格に設定されている。本体で儲けるのではなく、後のランニングで稼ぐひげ剃りやコピ…

もうひとつのABCに学ぶ(2013年4月)

料理教室最大手に成長したABCクッキングスタジオ。いくつかのショッピングセンターで、ガラス張りの教室を見かけ、面白いなと注目していた。今利用できるのは女性のみで、中心顧客は21から30歳のOL。おしゃれな若い女性がジムや英会話に通うように、料理を楽…

デザインとアートの役割(2013年3月)

デザインを、機能や品質と同様にブランディングの柱に据える企業が増えている。デザインが重用されるのは喜ばしい。ただデザインと一言で言っても何を指すのか、またその良し悪しの基準は何か、まだまだ経験が少なく判断に困ることが多い。先日なるほどと納…

経済的なもの以外の何か(2013年2月)

大阪市の地下鉄天王寺駅のトイレが、自動水洗やパウダーコーナーなどを備えた多機能トイレに生まれ変わり快適になったと、市の交通局が広告をしていた。広告のビジュアルは、おなじみの男女のトイレサインだが、お辞儀をしているように見えるものにアレンジ…

つないで伝えるアイデア(2013年1月)

今年は、20年に一度の伊勢神宮の式年遷宮の年に当たる。内宮・外宮の二つの正殿、14の別宮すべての社殿をはじめ、装束や宝物をそっくり作り直して、御神体を新宮へ移すという。途中、中断や延期はあったものの、1300年もの長きにわたり脈々と受け継がれてき…

あいまい、間がおもしろい。(2012年12月)

古い友人に久しぶりに会い、面白い話を聞いた。元広告代理店の企画屋さんで、今は地域活性化の手伝いをしているという。都市を行き交う人と企業との垣根を低くし、街で昔のような人の交流を復活させようというプロジェクトを始めたらしい。そのシンボルとし…