寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

もう見逃し三振はしない(2017年12月)

年を重ねると1日は長く1年が短くなると言われるが、本当に時間が経つのが早く感じられる。今年を振り返ると、稀勢の里が1月に初優勝し、日本出身としては19年ぶりの横綱に昇進した。横綱になって初めて挑んだ春場所では怪我をおして戦い逆転優勝に輝いた。こ…

規模や効率の裏にチャンス(2017年11月)

リニア中央新幹線で品川と大阪間が結ばれると、JR山手線を一周するのと同じ時間で移動できるらしい。これまでも東京と地方を結ぶ交通路が生まれ、その度に東京との行き来が便利になり、地方が活性化すると言われてきた。結果はいつも同じ。期待とは逆に東京…

顧客に響くのはデータか愛か(2017年10月)

AGFAという言葉がある。Apple、Google、Facebook、Amazonの頭文字を並べたもので、今最も影響力を持つ4社を指す。アップルはiPhone発売10周年を記念したモデルiPhonXを発表し、アマゾンは米高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収するなど、その勢い…

顧客が購入する本当の理由(2017年9月)

車を衝動買いする店があると聞き、行ってみた。その店はトヨタが開発した「トレッサ横浜」というモールにある。トヨタが扱う全車種を2階のフロア全面で展示、1階は広大なメインテナンススペース。トヨタ車に関することは、全てここで大丈夫という安心感が…

自然である事、シンプルである事(2017年8月)

通勤途中にあるテニスコートからコーチの声が飛び込んできた。「無駄な動きが多い。無駄をなくすことを意識して」。声しか聞こえなかったが、未来の錦織選手を目指す子ども達の練習風景が思い浮かんだ。状況を素早く把み、早く打点に入って、正確に打ち返す…

見えない谷をジャンプする勇気(2017年7月)

デビューから無敗のまま将棋界の連勝記録を塗り替えた藤井聡太四段。将棋はもちろん、受け答えや食事に到るまで、14歳の最年少棋士の一挙手一投足に日本中が熱狂した。連勝は29でストップしたが前人未到の記録に違いはない。先日、日本将棋連盟のモバイル編…

論理より感情 優位の時代に(2017年6月)

KPI(重要業績評価指標)を決めPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回そうとか、ゴールを決めて逆算で行動しようとか、こうした事を訳知り顔で話すことが多い。1.全体の状況を俯瞰し、2.課題をもれなくだぶりなく洗い出し、3.影響度順に並べ、4.解決の…

境目のない、新しい関係(2017年5月)

モノにセンサーが付きネットに繋がると、何が起きるか。私たちはその変革の時にいる。これまではリアル(モノ)とバーチャル(情報)の間に境界があった。インターネットで起きていたことは情報の世界であった。グーグルで必要なものを探し、アマゾンで買い…

強い信念と、諦めの悪さ(2017年4月)

ユニクロは先日、東京・有明に大型のオフィス兼物流拠点を開設した。商品の企画・生産から物流、社員の働き方までを一体改革するプロジェクトで、赤坂の本部で勤務していたスタッフ約1000人が移動した。同時に「アパレルの製造小売業」から「情報製造小売業…

顧客も店も、生き物だから(2017年3月)

ある飲食店のオーナーから聞いた話を思い出した。オーナーはローカルながらも居酒屋や肉料理など、複数の業態で多店舗展開をされており、経験もノウハウも豊富な方である。いつも入念な準備をして臨むが、その地域性や立地によって店づくりは微妙に違う。マ…

  鉄砲と愛が、歴史を変えた(2017年2月)

先日ある講演を聞く機会があった。幕末の長州藩と幕府の戦い、それと鉄砲についてであった。攻める幕府軍は10数万人。迎え撃つ長州は数千人と二桁違う戦力であった。戦いは1次2次の二度にわたり行われたが、いずれも長州の勝利となった。幕府への不信や様…

与えられた道はつまらない(2017年1月)

機中で何本かの映画を見た。映画リストを見ていて気づいたのだが、日本公開の予定有り無しのアイコンがつけられていた。意識して見直すと公開予定の作品は意外と少ない。前作がヒットしたシリーズ物や、超有名俳優の作品、アニメなど確実に収入が見込まれる…

理解よりも、行動の時代(2016年12月)

「AI」と「IoT」いう二つの言葉。第四次産業革命とか、全ての業種が情報産業に向かうと言われるキーワードだ。これまでも同じような言葉が、泡のように生まれては消えてきた。またかと思えるが、今回はちょっと雰囲気が違う。新聞では各社の取り組みが連日ニ…

顧客の課題に寄り添う(2016年11月)

顧客のブランド体験という言葉をよく耳にする。ブランドは顧客の内側に蓄積されるもので、商品や店舗の雰囲気、スタッフの対応などがブランドの印象として刻まれる。期待より満足度が高ければ良い印象になり、下回れば印象を悪化させる。今ブランド体験が注…

創造性は企画書に書けない(2016年10月)

リオ五輪とパラリンピックの閉会式で行われた東京2020のプレゼン「トーキョーショー」はすごかった。クールな演出とクリエイティビティに思わず釘付けになった。仕事柄、ビッグイベントの演出を楽しみにしている。リオ開会式では、東京では誰が演出するのか…

組織に頼らない個人が主役に(2016年9月)

約1カ月半に亘り世界を熱狂させたリオ五輪とパラリンピックが終了した。両閉会式では小池百合子新都知事がバトンを受け継ぎ、素晴らしい東京プレゼンを披露した。何かと揺れた東京であるが、ようやく本格始動すると期待する。 先の都知事選は、人々や街の気…

プログラム、語学、スポーツ(2016年8月)

プログラミングを2020年までに小学校で必修化することが、政府の成長戦略として検討されている。あらゆることがコンピュータ化する中で、プログラミングは専門家だけでなく、全ての人に必要になるということだ。同じようなことで言えば英語がある。今は小学5…

急げ、船が出るぞ〜(2016年7月)

空港で、夏休みを利用し一人で帰国した小学生に出会った。一人旅には幼な過ぎる年齢で、航空会社のお姉さんがアテンドしていた。入国手続きを待つ間の小学生とお姉さんの会話が面白かった。小学生はイギリス在住で、現地の学校に通っている。ちょうどイギリ…

スポーツは心と体に効く(2016年6月)

縁あってアンプティサッカーに協賛をしている。アンプティサッカーは、手足の切断障がいを持つ人の7人制サッカーで、日常の生活やリハビリで使用されるクラッチ(杖)を使いプレーする。クラッチで全体重を支えながらボールを扱う姿や、フィールドを駆け抜…

勝つために倍の準備をする(2016年5月)

リオ五輪が迫り、各競技の選手選考が進んでいる。四年に一度の大会の代表権を獲得し、その上で世界に挑む。すべての選手はこれに合わせ体調やメンタルを整えてきたはずだ。その中で出場権を獲得し、メダルを目指すというのは想像を絶することだと思う。我々…

人と技術の新しい関係(2016年4月)

先日、米グーグルが開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」と、韓国のプロ囲碁棋士・イ・セドル氏が対戦した。結果は皆さんもご存知の通り5戦を戦い、人口知能が4勝。プロ棋士が1勝し面目を保ったものの、人と機械が逆転する時代がついに来たと感じ…

新しい船には新しい水夫を(2016年3月)

人は思考も行動も、慣れた習慣から抜けにくいものである。先日あるデジタルメディアを利用した広告(もはや死語ですが便宜上使います)で気づいた事がある。顧客との接点が、従来のメディアからネットに変わリ、当社でもこちらに比重を移している。表向きは…

最少が美しい(2016年2月)

唐突ですが、地球の生き物で最も進化しているのは何だと思いますか。普通に考えれば人という事になるのだろうが、私はイルカやクジラが一番のような気がする。人は道具や火を使う事で、他の生き物と全く違う進化を遂げた。コミュニティを築き集団で生きると…

言葉のチカラ(2016年1月)

何事にも名前やタイトルを付けることが大切である。名前が付くことでその存在がはじめて明らかになり、また誰かに伝えやすくなる。例えばサッカーでいえば、ゲーム中「プレス」「ワイド」「球際」「集中」など短い言葉でチーム全体の意思を確認する。素早く…

ランキングから読む未来像(2015年12月)

今年も1年を振り返る時期が来た。様々な団体から今年のランキングが発表されている。今年の流行語大賞は「トリプルスリー」と「爆買い」が選ばれた。流行語大賞は、私たちにもすっかり定着し、1年の中で何か話題になることがあると、これ今年の流行語かも…

大切なものは枠の外にある(2015年11月)

通勤で歩くよう心がけている。同じ道ではあるが、年に二度歩く側が変わる。日陰側から日向側に、日向側から日陰側にである(南北の道を歩いてます)。今年も肌寒くなり先日、日向側へ切り替わった。毎年、無意識に行っていることであるが、こうして振り返る…

ローカルとグローバルは隣どうし(2015年10月)

政府が観光立国の名の元、目標にした訪日外国人は1000万人を突破、2000万人も見える所に来ている。街で多くの外国語を耳にしたり、買い物のすごさを話題にしたのは少し前。最近は、絵に描いたような観光客だけでなく、限られた時間と予算を工夫しながら日本…

ITが世代交代を加速させる(2015年9月)

多くの産業がITの力で構造転換を迫られている。しかもそのスピードは全く経験のない速さだ。私が最初にネットに出会ったのが96年くらいで、当時ネットは手付かずの新世界に映った。早くやらないと誰かがやってしまう。毎日何をしようかワクワクしていたこと…

古い殻を脱皮するスポーツ(2015年8月)

先日の7月24日、ぼんやり朝刊をめくっていたが、いつもより多い広告に「えっ」とめくり返すことに。それらは東京2020オリンピック・パラリンピックのパートナー企業のものであった。読み進めると5年後の7月24日が開幕日であった。新国立競技場の白紙撤回や…

お金で買えないもの優先(2015年7月)

先日、リゾートホテルでゴルフを楽しむ機会があった。会員制のリゾートで平日ということもあり、年齢の高い夫婦やグループが目立った。リタイア後、ゆったりと夫婦や仲間でコースを回るのは幸せそうで、こうなりたいものだと感じた。が、これを実現するには…