寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

1945年の終戦と2020年の五輪(2015年1月)

 毎年1月のコラムは、元旦の朝刊について書くことが多い。どの新聞社も入念に準備した特集が多く、これからを考えるヒントにあふれている。今年はどんな刺激に出会えるか、早めに一人起き分厚い朝刊を読むのが、ささやかな楽しみの一つになっている。

 2015年は戦後70年区切りの年にあたる。70年の長きにわたり一度も戦争を経験しなかった国は幸せだ。これを運が良かったではなく、それが叶った要因をしっかり見つめ直すことで、次の世代につなげなければならない。また2020年には東京五輪が開催される。五輪をきっかけにした新しい街づくり、国づくりもようやく具体化してきた。1945年の終戦2020年の東京五輪、今年はこの二つを軸に過去と未来を考えさせられる記事が多かった。人口減の中での生産性向上、国際化とボーダレス化、高齢者と女性の活躍などが、解決すべき課題として取り上げられている。技術系では、燃料電池と自動運転の車が主役であった。車と呼んでいるが、これまでの車とは別物である。車づくりの技術はもちろんだが、IT、通信、電気、ガスの輸送&保管など、インフラを含めたメイド・イン・ジャパンの技術の集積がこれを可能にする。脈々と築いてきた技術は、他の世界や他の技術とコラボすることで再び輝き、夢を実現する力になっている。水素ロボット化した車は、エネルギー、環境、高齢化、人手不足、安全などを同時に解決する。同様に日本が直面する多くの課題も、これまでにない視点で捉え直し、独自技術を組み合わせれば一挙に解決できるのではと、楽観的に考えたりもする。

 2020年の東京では、小型無人飛行機「ドローン」が空中から安全を監視。チケットや支払いは顔認証でフリーパス。移動は環境負荷0の燃料電池車や新交通システム、会場の移動は一人乗りビークルで。言葉の問題もウェアラブル端末を使った同時通訳で解消。宿泊や食事なども、ボランティアが投稿した地元情報を自国語に翻訳して案内。言葉の問題がなくなったおかげで、いつでもどこでも、誰もがガイドや交流に参加でき、日本の真のおもてなしを体験してもらえる。そして、このインフラは五輪後の資産に。こんな初夢、間に合うだろうか。