寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

サービス化いつやるの?今でしょ!(2013年6月)

 「いつやるの?今でしょ!」で超有名になった東進スクールの現代文講師の林修先生。先生がテレビ番組に出ることで、最近の予備校事情を知る事になった。私が知らなかっただけかも知れないが、予備校の風景は思いもかけないものであった。みなさんは予備校の教室にどんなイメージをお持ちですか。私は高校の教室みたいな感じ。タレント並に人気の講師もいると聞いていたので、大学のように大人数を収容できる階段教室みたいな所もあるのだろうと思っていた。が、現実はまったく違っていた。講義は教室でなく、ビデオカメラが生徒といった、無人のスタジオで行われていた。今年の流行語大賞間違いないと言われるフレーズも、生徒に向かってではなくビデオカメラに向かって発せられたものだった。へえ、そうなんだと感心している私は、テレビ局の企画に見事に反応するいい視聴者なのだと思う。

 また、生徒が集まる教室の風景も一変していた。私の想像する教室はなく、一人一人を衝立てで仕切ったネットカフェのようなブースになっていた。そこにはネットでつながったパソコンを通じ、生徒が林先生や他の先生が収録したビデオで勉強をしている。一見すると、多くの生徒が集まり同じように勉強しているように見えるが、それぞれの生徒が好きな教科を、自分のペースで学ぶ事ができるようになっている。とても合理的で理にかなっている。疑問に思ったのは、これならわざわざ予備校に来る必要はない、自宅でできるじゃないかということだ。にもかかわらず予備校に集まってくるのはなぜか。がんばっている仲間を見てモチベーションをあげる。友達と会う事で刺激し合う。友達と無駄なことを話すことでリフレッシュする。効率に変えられない何か、コミュニティの機能に価値を見いだしているのだと思う。

 スポーツや健康の教室も、こうした予備校モデルを利用することができれば、より多くの人に影響を及ぼすことができると同時に、ビジネスの可能性も広がるはずである。また、人が集まるコミュニティはすべての業種の重要課題であるが、スポーツはコミュニティを作りやすい恵まれた業種である。何度も繰り返しているが、ここが次の成長の芽であるはずである。