寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

したたかにAIを手なずける顧客

弊社の調査で顧客に直接ヒアリングする機会があった。その中で「情報の接し方」が興味深かったのでご紹介させていただく。母数は数十人と限られた数であるが、何となく思っていた事を確認することになった。私が感じたのは次の三つ。情報の接し方が、検索か…

立ち止まると、急速に色褪せる

各企業の決算が続々と発表されている。中国経済の減速や、イギリスの合意なきEU離脱などの不透明感から、前年を割る発表が目につく。そうしたニュースで感じるのは、昨年のこの時期は、同じ問題を抱えながらも、多くの企業が増益、過去最高を連発と、活気あ…

AIが作るもう一人のワタシ

ある番組で、大谷翔平を負かした男として、ボストン・レッドソックスのムーキー・ベッツ選手が紹介されていた。入団前は全く注目されていなかったが、レッドソックスの特殊な発掘テストで見出された。身長は175cmと小柄ながら比類な能力を持つ。「判断力」…

もう一人の自分を飼っておく

先日、出張先で待ち合わせ場所の近くまで行きながら迷ってしまった。地図アプリを開こうとしたが、スマホの調子が悪く表示されない。迫る時間に焦りながら、ウロウロしていると運良く待ち人の姿が見え、ぎりぎり間に合った。初めてのお客様訪問に迷惑をかけ…

情報のキャッチ&スルー

同じ電車に居合わせた若いサラリーマンの会話が聞こえてきた。「昔スマホがなかった頃、どうやって仕事をしていたのだろう」。私に聞かれたわけではないが、何か引っかかるものがあり自問自答してみた。私の若い頃を振り返ると、まだ固定電話の時代でFAXはし…

顧客の参加とシェアリング

先日、主にスーツを扱う会社の方と話をする機会があった。クールビズが浸透しずいぶんビジネスシーンが変わりましたね、影響はどうですかと質問してみた。気にしていたのは需要の減少より、流行が読めず準備するのが難しくなったという事であった。昔は、3つ…

虚構の方がリアルな逆転現象

ある若いカップルが破局を迎えた。最後にもう一度会って、これで終わりにしようと話した時は、意外にも涙が出ず、そんな自分に少し驚いた。家に帰って、スマホの連絡先や楽しかった画像を消去した時、ああ終わりなんだと、急に悲しみがこみ上げてきたという…

シンプル&ストレートが強い  

健康という共通項で躍進している2社が気になっている。一社はライザップ。「結果にコミット」という魔法の言葉を発明し、ボディメイクからゴルフや語学などに事業を拡大すると共に、次々とM&Aを実施。その中には馴染深いスポーツ企業も含まれている。プロの…

杓子定規から革新は生まれない(2018年7月)

4年に一度のイベントに、寝不足の日々を過ごした人は多かっただろう。今回気になったのが「VAR」ビデオ・アシスタント・レフェリーだ。通常はピッチに立つ審判によって判定が下されるが、新たに加わったのがVAR。各スタジアムに設置された33台のカメラから送…

大切なのは、便利より自由である事(2018年6月)

音楽の再生、天気やニュースの読み上げ、家電や照明のセットを簡単にリモート操作できる、アマゾンの音声アシスタント「エコー」で、夫婦の会話が友人に送られるという事故があった。エコーは、「アレクサ」と呼びかけてアシスタントが始まるのだが、何かの…

次の時代は次の人たちが作る(2018年5月)

今年も十数名の新社員を迎えることができた。スポーツは人気業種で弊社でもけっこうな倍率となっている。エントリーシートから始まってSPI試験、グループインタビューや面接などを通過してきた精鋭達である。いつも思うのだが、当時の私が試験を受けたら、確…

答えも課題も、自分で見つける(2018年4月)

人工知能が発達する背景には、様々なモノが繋がるようになったこと(IoT)、ネットワークを使って雲のように離れた所にあるソフトウェアやデータを使うサービス(クラウド)が主流になったことが大きい。この二つにより、ビッグデータと呼ばれる大量のデータ…

心理を味方につける(2018年3月)

定期的に内視鏡検査を受けているが、何度受けても慣れない。とは言え、初めての時は要領がわからず焦ったが今は落ち着いている。やっていることに変わりはないのだが、気持ちの準備が違う。初めての時は、検査の管が喉を通る苦しさと、その先がどうなるのか…

スポーツと5つの性格スキル(2018年2月)

あるアメリカの調査では、今後10~20年の間に、アメリカの雇用の47%がAIやロボットにとって代わられるという。仮にそうだとすれば人はこれから、どんな能力を身につければいいのか。先日それについて面白い記事を見つけた。話題にしていたのはビッグファイブ…

コピーできないものに価値(2018年1月)

年末年始、お笑いや歌番組を多いに楽しんだ。暫くぶりで、知らない芸人や歌手が多い。次々と登場する知らない新しい人たちと、知っている古い人たち。私感で恐縮だが、大抵は新しい人の方がおもしろい。古い人の多くは、むかし成功した型から出ようとしない…

もう見逃し三振はしない(2017年12月)

年を重ねると1日は長く1年が短くなると言われるが、本当に時間が経つのが早く感じられる。今年を振り返ると、稀勢の里が1月に初優勝し、日本出身としては19年ぶりの横綱に昇進した。横綱になって初めて挑んだ春場所では怪我をおして戦い逆転優勝に輝いた。こ…

規模や効率の裏にチャンス(2017年11月)

リニア中央新幹線で品川と大阪間が結ばれると、JR山手線を一周するのと同じ時間で移動できるらしい。これまでも東京と地方を結ぶ交通路が生まれ、その度に東京との行き来が便利になり、地方が活性化すると言われてきた。結果はいつも同じ。期待とは逆に東京…

顧客に響くのはデータか愛か(2017年10月)

AGFAという言葉がある。Apple、Google、Facebook、Amazonの頭文字を並べたもので、今最も影響力を持つ4社を指す。アップルはiPhone発売10周年を記念したモデルiPhonXを発表し、アマゾンは米高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収するなど、その勢い…

顧客が購入する本当の理由(2017年9月)

車を衝動買いする店があると聞き、行ってみた。その店はトヨタが開発した「トレッサ横浜」というモールにある。トヨタが扱う全車種を2階のフロア全面で展示、1階は広大なメインテナンススペース。トヨタ車に関することは、全てここで大丈夫という安心感が…

自然である事、シンプルである事(2017年8月)

通勤途中にあるテニスコートからコーチの声が飛び込んできた。「無駄な動きが多い。無駄をなくすことを意識して」。声しか聞こえなかったが、未来の錦織選手を目指す子ども達の練習風景が思い浮かんだ。状況を素早く把み、早く打点に入って、正確に打ち返す…

見えない谷をジャンプする勇気(2017年7月)

デビューから無敗のまま将棋界の連勝記録を塗り替えた藤井聡太四段。将棋はもちろん、受け答えや食事に到るまで、14歳の最年少棋士の一挙手一投足に日本中が熱狂した。連勝は29でストップしたが前人未到の記録に違いはない。先日、日本将棋連盟のモバイル編…

論理より感情 優位の時代に(2017年6月)

KPI(重要業績評価指標)を決めPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回そうとか、ゴールを決めて逆算で行動しようとか、こうした事を訳知り顔で話すことが多い。1.全体の状況を俯瞰し、2.課題をもれなくだぶりなく洗い出し、3.影響度順に並べ、4.解決の…

境目のない、新しい関係(2017年5月)

モノにセンサーが付きネットに繋がると、何が起きるか。私たちはその変革の時にいる。これまではリアル(モノ)とバーチャル(情報)の間に境界があった。インターネットで起きていたことは情報の世界であった。グーグルで必要なものを探し、アマゾンで買い…

強い信念と、諦めの悪さ(2017年4月)

ユニクロは先日、東京・有明に大型のオフィス兼物流拠点を開設した。商品の企画・生産から物流、社員の働き方までを一体改革するプロジェクトで、赤坂の本部で勤務していたスタッフ約1000人が移動した。同時に「アパレルの製造小売業」から「情報製造小売業…

顧客も店も、生き物だから(2017年3月)

ある飲食店のオーナーから聞いた話を思い出した。オーナーはローカルながらも居酒屋や肉料理など、複数の業態で多店舗展開をされており、経験もノウハウも豊富な方である。いつも入念な準備をして臨むが、その地域性や立地によって店づくりは微妙に違う。マ…

  鉄砲と愛が、歴史を変えた(2017年2月)

先日ある講演を聞く機会があった。幕末の長州藩と幕府の戦い、それと鉄砲についてであった。攻める幕府軍は10数万人。迎え撃つ長州は数千人と二桁違う戦力であった。戦いは1次2次の二度にわたり行われたが、いずれも長州の勝利となった。幕府への不信や様…

与えられた道はつまらない(2017年1月)

機中で何本かの映画を見た。映画リストを見ていて気づいたのだが、日本公開の予定有り無しのアイコンがつけられていた。意識して見直すと公開予定の作品は意外と少ない。前作がヒットしたシリーズ物や、超有名俳優の作品、アニメなど確実に収入が見込まれる…

理解よりも、行動の時代(2016年12月)

「AI」と「IoT」いう二つの言葉。第四次産業革命とか、全ての業種が情報産業に向かうと言われるキーワードだ。これまでも同じような言葉が、泡のように生まれては消えてきた。またかと思えるが、今回はちょっと雰囲気が違う。新聞では各社の取り組みが連日ニ…

顧客の課題に寄り添う(2016年11月)

顧客のブランド体験という言葉をよく耳にする。ブランドは顧客の内側に蓄積されるもので、商品や店舗の雰囲気、スタッフの対応などがブランドの印象として刻まれる。期待より満足度が高ければ良い印象になり、下回れば印象を悪化させる。今ブランド体験が注…

創造性は企画書に書けない(2016年10月)

リオ五輪とパラリンピックの閉会式で行われた東京2020のプレゼン「トーキョーショー」はすごかった。クールな演出とクリエイティビティに思わず釘付けになった。仕事柄、ビッグイベントの演出を楽しみにしている。リオ開会式では、東京では誰が演出するのか…