寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

スポーツとオリンピック

何が起きてもおかしくない、不確実な時代である。1年遅れの2020東京オリパラも開幕までひと月を切った。原稿を書いている現時点での世論は、70%が中止か延期が望ましいとの声。実業界からも開催反対の意見が飛び出す。IOCや組織委員会は、仮に非常事態宣言下…

ウイズ・コロナの覚悟

アウディがブランドの象徴である4つの輪の重なりをなくし、フォルクスワーゲンはVとWを離し、マクドナルドも”m”の山を横にずらすなど、3社は人と人との距離を保つソーシャル・ディスタンスを、誰の目にも見える形で訴えた。製品やサービスの紹介でなく、最…

情報の波を乗りこなす力

すべての国、すべての人の恐怖になったコロナウイルス。感染による人命の危機はもちろん、人やモノの動きが止まる社会へのインパクトは想像を絶する。世界の近さと、世界の広さを再認識する事になった。心配された東京オリパラも1年延期でとりあえず落ち着い…

成長の共通項は「ピボット」

休日は、いつもよりゆっくり新聞に目を通す。そんなある日、今日は「元気な企業特集」と錯覚するほど、連続して成長企業の記事を目にすることがあった。記事はいつもと変わりないが、私が「そう読みたい」と思ったのかもしれない。目に付いたのは、富士フイ…

だけじゃないアップル体験

AUとアップルで、興味深い体験をした。娘はアップルの新機種購入、私と家内はキャリアの切替に、お正月の街に出た。まずは電話番号を引き継ぐMNPを取るために電話。要件を説明し、解約にかかる費用を聞く。説明では、MNPに3,300円、1ヶ月分の料金7,000円、そ…

過剰を捨てるとうまくいく

南太平洋の島ツバルなど島嶼国では、耕作地から海水が沸き出し作物が育たない。一方大陸では様々な所で砂漠化が進み、温暖化対策は待ったなしに迫っている。先のCOP25では、会期を2日延長して合意形成が試みられたが、玉虫色の曖昧なものになった。アメリカ…

ブランドは瞬間解凍する記号

市場が縮小する中で、ブランドの大切さを見直す機会が増えている。この場で「ブランドとは」といった話はできないが、気になっている事に少し触れてみたい。 身近な所で言えば、忙しくても親身に相談に乗ってくれる頼り甲斐のある〇〇さん、いい事は言うけど…

便利の先が、善とは限らない。

先日運転中に、ETCが電波を受信できなくなり、久々に一般ゲートを利用した。その時は乗り継ぎが必要で、支払いの度に手間がかかるのを大変面倒に感じた。少し前にも、こんな事があった。出張中に交通系カードを破損し、切符を買う事になった。同僚と一緒に…

もう他人事ではないオープン施策

トヨタの動きが激しい。100年に一度の業界再編という事で、豊田社長が陣頭に立ち改革を進めている。直近ではスズキとの資本提携、その前にはマツダ、スバルとの提携を相次ぎ進めてきた。驚いたのは、少し前になるが二つのニュース。一つはソフトバンクグルー…

黒か白でなく、黒も白も

有名大学を卒業しても、官僚や大企業の道を歩まない人が増えている。昔ながらのエリート道を選ぶ人も、起業するための経験を磨くためと割り切り、期間限定で働く人が多い。大学時代から起業する人も増えている。共通するのは、自分の力で、社会の何かを変え…

見える論理と、見えない感性

長く企画の仕事をしていて感じる事がある。常に心がけているのは、オリエン(企画前の方向付け)の重要性だ。まずは依頼者の意図と課題を聞き、その場で企画の落としどころを見つける。逆に言えば、見つけられるまで粘る。この段階でポイントを絞り込めると、…

覆水盆に返らずと言うけれど

展示会が続き、お店やメーカーの方と話す機会が多くあった。元気な企業は共通して新しい事に挑戦する気風が強い。突然の環境変化や不透明さはあっても「条件はみんな同じ」と受け止め、次の事、自分たちができる事を着々と進めている。そんな話は聞いていて…

水は低きに、情報は興味に流れる

休日の、いつもより遅めの時間帯に、新幹線に乗る機会があった。いつもと同じ新幹線なのに、車内の空気がまったく違っている。平日は、キーボードを叩く音や、資料をめくる紙音くらいしかないのだが、あちこちから会話する声が聞こえてくる。子どもの声も交…

プロジェクトに呼ばれるために

人生100年時代と言われ、少なくとも80年以上を生きる時代になった。少し前、父親たちの世代は55歳が定年で、10年ほど余生を過ごし人生を終えるのが普通であった。70歳以上だと長生きで良かったですねと、声をかけていた様に思う。今は60歳定年が多いが、年金…

時代をリセットする日本の知恵

4月1日に新元号「令和」が発表された。「令」の字が命令とか統制をイメージし好ましくないとか、「和」は最も大切な平和を象徴し嬉しいとか、賛否両論があった。全体的には若い人は好意的で、年齢の高い人は懐疑的という印象である。グローバル世界でのコ…

したたかにAIを手なずける顧客

弊社の調査で顧客に直接ヒアリングする機会があった。その中で「情報の接し方」が興味深かったのでご紹介させていただく。母数は数十人と限られた数であるが、何となく思っていた事を確認することになった。私が感じたのは次の三つ。情報の接し方が、検索か…

立ち止まると、急速に色褪せる

各企業の決算が続々と発表されている。中国経済の減速や、イギリスの合意なきEU離脱などの不透明感から、前年を割る発表が目につく。そうしたニュースで感じるのは、昨年のこの時期は、同じ問題を抱えながらも、多くの企業が増益、過去最高を連発と、活気あ…

AIが作るもう一人のワタシ

ある番組で、大谷翔平を負かした男として、ボストン・レッドソックスのムーキー・ベッツ選手が紹介されていた。入団前は全く注目されていなかったが、レッドソックスの特殊な発掘テストで見出された。身長は175cmと小柄ながら比類な能力を持つ。「判断力」…

もう一人の自分を飼っておく

先日、出張先で待ち合わせ場所の近くまで行きながら迷ってしまった。地図アプリを開こうとしたが、スマホの調子が悪く表示されない。迫る時間に焦りながら、ウロウロしていると運良く待ち人の姿が見え、ぎりぎり間に合った。初めてのお客様訪問に迷惑をかけ…

情報のキャッチ&スルー

同じ電車に居合わせた若いサラリーマンの会話が聞こえてきた。「昔スマホがなかった頃、どうやって仕事をしていたのだろう」。私に聞かれたわけではないが、何か引っかかるものがあり自問自答してみた。私の若い頃を振り返ると、まだ固定電話の時代でFAXはし…

顧客の参加とシェアリング

先日、主にスーツを扱う会社の方と話をする機会があった。クールビズが浸透しずいぶんビジネスシーンが変わりましたね、影響はどうですかと質問してみた。気にしていたのは需要の減少より、流行が読めず準備するのが難しくなったという事であった。昔は、3つ…

虚構の方がリアルな逆転現象

ある若いカップルが破局を迎えた。最後にもう一度会って、これで終わりにしようと話した時は、意外にも涙が出ず、そんな自分に少し驚いた。家に帰って、スマホの連絡先や楽しかった画像を消去した時、ああ終わりなんだと、急に悲しみがこみ上げてきたという…

シンプル&ストレートが強い  

健康という共通項で躍進している2社が気になっている。一社はライザップ。「結果にコミット」という魔法の言葉を発明し、ボディメイクからゴルフや語学などに事業を拡大すると共に、次々とM&Aを実施。その中には馴染深いスポーツ企業も含まれている。プロの…

杓子定規から革新は生まれない(2018年7月)

4年に一度のイベントに、寝不足の日々を過ごした人は多かっただろう。今回気になったのが「VAR」ビデオ・アシスタント・レフェリーだ。通常はピッチに立つ審判によって判定が下されるが、新たに加わったのがVAR。各スタジアムに設置された33台のカメラから送…

大切なのは、便利より自由である事(2018年6月)

音楽の再生、天気やニュースの読み上げ、家電や照明のセットを簡単にリモート操作できる、アマゾンの音声アシスタント「エコー」で、夫婦の会話が友人に送られるという事故があった。エコーは、「アレクサ」と呼びかけてアシスタントが始まるのだが、何かの…

次の時代は次の人たちが作る(2018年5月)

今年も十数名の新社員を迎えることができた。スポーツは人気業種で弊社でもけっこうな倍率となっている。エントリーシートから始まってSPI試験、グループインタビューや面接などを通過してきた精鋭達である。いつも思うのだが、当時の私が試験を受けたら、確…

答えも課題も、自分で見つける(2018年4月)

人工知能が発達する背景には、様々なモノが繋がるようになったこと(IoT)、ネットワークを使って雲のように離れた所にあるソフトウェアやデータを使うサービス(クラウド)が主流になったことが大きい。この二つにより、ビッグデータと呼ばれる大量のデータ…

心理を味方につける(2018年3月)

定期的に内視鏡検査を受けているが、何度受けても慣れない。とは言え、初めての時は要領がわからず焦ったが今は落ち着いている。やっていることに変わりはないのだが、気持ちの準備が違う。初めての時は、検査の管が喉を通る苦しさと、その先がどうなるのか…

スポーツと5つの性格スキル(2018年2月)

あるアメリカの調査では、今後10~20年の間に、アメリカの雇用の47%がAIやロボットにとって代わられるという。仮にそうだとすれば人はこれから、どんな能力を身につければいいのか。先日それについて面白い記事を見つけた。話題にしていたのはビッグファイブ…

コピーできないものに価値(2018年1月)

年末年始、お笑いや歌番組を多いに楽しんだ。暫くぶりで、知らない芸人や歌手が多い。次々と登場する知らない新しい人たちと、知っている古い人たち。私感で恐縮だが、大抵は新しい人の方がおもしろい。古い人の多くは、むかし成功した型から出ようとしない…