寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

スポーツと5つの性格スキル(2018年2月)

 あるアメリカの調査では、今後1020年の間に、アメリカの雇用の47%AIやロボットにとって代わられるという。仮にそうだとすれば人はこれから、どんな能力を身につければいいのか。先日それについて面白い記事を見つけた。話題にしていたのはビッグファイブと呼ばれる性格スキル。順不同だが、1)開放性/好奇心や審美眼、2)真面目さ/目標と規律を持って粘り強くやり抜く資質、3)外向性/社交性や積極性、4)協調性/思いやりや優しさ、5)精神的安定/不安や衝動が少ない資質。この5つの組み合わせが、その人の性格、ひいてはその人の人生に大きな影響を与えるという。日本でも同様の研究がされており、この性格スキルと、就職や年間所得の関係が紹介されていた。一般的には学歴の影響が大きいように思えるが、真面目さ/目標を決めて最後までやり抜く資質、これが最も影響するという。次は精神的な安定性で、その中の要素である自主性が大きい。その次は協調性だが、面白いことに日本では協調性は収入にプラスに働くが、海外では協調性の高さは収入のマイナスにつながるという。こうした能力に共通していることがある。どれも先天的なものでなく、後の努力で身につけられるという事だ。また20代や30代になってからの方が高められる能力もある。努力次第で、誰にもチャンスがあるというのが嬉しい。

 私は、ここにスポーツの大きな可能性のヒントがあると思い、長々と紹介させていただいた。もちろん身体を動かす喜びや健康への貢献はスポーツの大きな役割である。が、国連が目指す持続可能な社会「SDGs」で提唱している17項目のうち、スポーツは「健康」と「教育」で大いに貢献できると思う。先のビッグファイブは、全てのスポーツの中にある要素である。しかもいいのは、ビッグファイブ修得のために特別な事をする訳ではない。好きなスポーツでうまくなりたいと夢中になっている中で、自然と醸成される。これがいい。教育臭くならない注意が必要だが、より多くの子供たちがスポーツに参加できるよう、親御さんをこの辺りから刺激してはどうだろう。スポーツ“で”学ぶ子どもを増やしたいものである。