寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

立ち止まると、急速に色褪せる

   各企業の決算が続々と発表されている。中国経済の減速や、イギリスの合意なきEU離脱などの不透明感から、前年を割る発表が目につく。そうしたニュースで感じるのは、昨年のこの時期は、同じ問題を抱えながらも、多くの企業が増益、過去最高を連発と、活気あるニュースであふれていた。それがわずか半年や1年で大きく変わる。不透明さと時の早さを痛感する。もう一つは、こうした状況でも成長目覚ましい企業があることだ。もう業界全体がという話ではない。追い風、逆風の影響は受けるが、同じ業種でも成長する所と、そうでない所の差が大きくつく時代だと思う。

   象徴的に思えたのは、世界を席巻するGAFAの2社、アップルとアマゾンだ。アップルは、中国ビジネスの大幅減とユーザーの買い替え期間が長くなった事で、第1四半期の決算が10年ぶりの減収減益となった。ただ次の第2四半期は、iPhone 以外の販売やサービスの課金事業が好調で増収増益を見込む。アマゾンは18年度の年次決算を発表。大幅な増益を果たした。牽引したのはクラウドサービスと広告。もはやECだけの会社でない事を数値が示している。成長する企業も中身を分解すれば、その内容が大きく変わっているという事だ。世界を席巻したビジネスでさえ急速に色褪せる。競争相手がいないと思われたマイクロソフトは、しばらくGAFAの後塵を拝していたが、クラウドや従量課金にビジネスを変えて復活。時価総額でNo1(18年12月)に返り咲いている。

   規模は全く違うが、自分自信の仕事を振り返っても同じことが言える。前年と同じでは8掛けか9掛けがいい所。実績があり安全そうに見える事が最も危険。少々乱暴な言い方をすれば、規模が小さいという事は、失うものが少ない。勇気を持って新しい事に踏み出すチャンスと考えるのだ。結果を見ると、それが見事に当てはまる。もちろん全て新しい事が当たるわけではないが、新しく手を打ったものが牽引しているのは確かである。全体に均等でなく、二桁ダウンを覚悟しながら、二桁アップの商品をいかに作るかが重要になっている。迷ったら新しい方。アイデア次第で、小さい事を武器にできる時代である。