寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

顧客の課題に寄り添う(2016年11月)

 顧客のブランド体験という言葉をよく耳にする。ブランドは顧客の内側に蓄積されるもので、商品や店舗の雰囲気、スタッフの対応などがブランドの印象として刻まれる。期待より満足度が高ければ良い印象になり、下回れば印象を悪化させる。今ブランド体験が注目されるのは、顧客がブランドに接触する全ての顧客接点で、どう繋がったかが見えるようになったことが大きい。また購入後の使用感や満足度はSNSで拡散される。ネットの進化により購買時点だけでなく、購買前、購買後までの体験が見える化し繋がるようになった。商品がいくら売れたかではなく、その後の関係が重要になっている。そういう視点で振り返ると、BBビジネスは顧客との関係をいかに作るか、そのためにはいかに顧客の役にたつかという考えでビジネスが行われてきた。BB的な対応は扱える顧客数に制限があったが、ITはそれを取っ払ってくれた。これからのB2Cは顧客との関係という点で、BBビジネスに学ぶべき多くのヒントがあるように思う。

 先日、息子の嫁の誕生日のお祝いを求め、あるブランドの直営ショップに行った。オーストラリアの自然化粧品の店であるが、そこでの経験がびっくりであった。家族向けのプレゼントであることを告げると、顧客情報からこれまで買い物した商品と購入日を調べてくれ、そろそろ無くなりそうな商品を推奨してくれた。プレゼント商品を悩みながら訪れたのだが、期待以上であった。後日プレゼントを手渡した時、非常に喜んでくれ、残りわずかな商品がどうしてわかったんですかとびっくりしていた。買い物したのは普段行っている店とは違う店舗であったが、全店共通で顧客管理をやっている。こんな事が他のブランドでも普通に行われているのだろうか。

 自分が興味あることや欲しいものをどこかに書き込むと、安くなった時に知らせてくれたり、誰かがプレゼントしてくれる。これはスポーツでもあると嬉しい。またスポーツは継続関係が築きやすい業種である。「結果にコミットする」というコピーで成長している企業があるが、私たちがやっているのは、顧客が商品やサービスを使うことで、手に入れたい結果に継続的に手伝うことである。