寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

成果をあげる3つの方法(2013年9月)

 スポーツ選手がパフォーマンスを上げるためにやれることは何か。◎練習の量や質を高めて力をつけること。◎もっている力を十分発揮できるよう身体を上手に使うこと。◎状況をすばやく掴み正しく判断すること。この3つが一般的である。これまで多くの指導者は、一つ目の体力やテクニックの向上に注力してきた。その結果、様々な分野ですごい力をもった子ども達が生まれてきたのも事実である。また最近は、元々持っている力を効果的に使うということで、体幹トレーニングやコーディネーショントレーニングなども注目されている。力を伝えるホースに穴があいていたり繋がりが悪く、百の力が届いた時には半分になっている、このロスをなくそうというイメージだ。最後の状況認識と判断については、あるサッカーの指導者がこんなことを言っていた。サッカーには大切な3つの要素がある。「認知」「判断」「実行」。選手は周囲の状況を認知し、パスするかドリブルするかを判断、実行する。しかし、多くの選手は実行の練習ばかりしていて、認知、判断の練習を行っていない。より有利な状況を得るには、ボールを受ける前、そして受けた後に何をしなければいけないか、判断することが重要であると言っていた。確かに、Jリーグの選手や子ども達を見ても、海外の選手と比べて遜色のないほど技術は高まっているように見える。しかし先のコンフェデ杯で勝てなかったのは、この当たりに差がありそうである。

 長々と書いたが、お気づきの通りこれは我々のビジネスに応用できることばかりである。新たな力をつけるのは重要である。すでに持つ力を発揮できるよう繋がりを良くするのも道である。向かう方向やゴールを皆が意識し行動する。これまた重要である。もうひとつ、ロンドン五輪内村航平選手が金メダルに輝いた。その際コーチがその時のデキを普段の30%くらいですねと言っていたのには驚いた。4年に1度、しかも個人。3倍の潜在力を持ってのぞまないと一番にはなれないということだろう。我々は日々修正ができる世界に生きている。しかも一人でなくチームで仕事ができる。この恵まれた環境に甘えることなく、より厳しい環境に生きる選手たちに学びたいものである。