寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

外へのチャンス、外からのリスク(2014年2月)

 夢物語だった眼鏡型のグーグルグラスが発売されたり、ジョウボーンやナイキのリストバンド型活動量計の普及により、今年はウェアラブル元年と言われている。先日アメリカで行われた家電見本市では、ソニーライフログツール「Core」を発表し、リストバンド型「スマートウェア」やスマートフォンで利用できる「Lifelogアプリ」を今春以降に提供するという。詳細は未定だが、睡眠や運動などのライフログスマートフォンに記録できるほか、音楽プレーヤーなど端末内のアプリ操作も可能なようだ。家電だけでなく車でもグーグルやアップルが存在感を増すように、スポーツや健康業界も例外ではない。IT活用が今後の明暗を分けるように思う。スポーツではナイキが早くよりこの分野に取り組んでいるが、本流は他業界に有利に進んでいるように見える。以前、健康志向から多くの人がサプリメントを摂取したり、フィットネスクラブで時間を過ごすようになったが、この市場を捉えた主役はスポーツ業界ではなかった。飲料や食品、医薬品、不動産や商業施設などがこの市場を抑えた。今またスポーツ&健康市場を大きく変えるムーブメントが生まれようとしている。今回はしっかり我々のビジネスに取り込みたいものである。

 携帯ゲームで一世風靡したグリー。一時ゲーム専用機から市場を奪った勝ち組であったが、スマホの登場で激変した。ガラパゴスと呼ばれる国内携帯をインフラに、そこにゲームアプリをのせていたのが、世界共通インフラのアップル、グーグルにとって変わられた。DeNAと並び両社のテレビCMを見ない日はない程であったのが嘘のようである。今は国内携帯インフラと決別し、米を拠点にゲームアプリに専念し復活しつつあるようだ。スポーツや健康管理でも同様だろう。インフラはグーグルや、アップル、ソニーなどグローバルに対応できる所に絞られるだろう。我々ができるのは、先のグリーのように、そのインフラを生かす形でのアプリ提供だ。より高い視野で見る事ができればスポーツ業界にもチャンスはあるはずである。国内外の枠、業種の枠はすごい勢いでなくなっている。広い市場に出るチャンスであり、外から来るリスクでもある。