寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

変わるものだけが次に進める(2013年12月)

 先日ブロックバスター閉鎖の小さな新聞記事を見つけた。かっては米レンタルビデオ最大手で、ツタヤはこのビジネスモデルを日本に持ちこんで成功した。ブロックバスターのおかげで、私達は映画や音楽を手軽に楽しめることができたともいえる。恩恵をたっぷり受けた世代として、何とも言えぬ時代の移り変わりを感じた。今後は衛星放送会社ディッシュの下で、ネットの動画配信に集中するらしい。一方、ツタヤを運営するカルチャーコンビニエンスクラブは、レンタル会員向けのカードを外部に解放する形でTポイントカードに発展させ、成長を続けている。会員数も4000万人を超え蓄積されたデータを利用したビジネスを画策している。ビジネスモデルを作った会社でも、世の中の変化に対応できなければ退場させられ、変化対応できた所だけが次へのチケットを手に入れる。常に変わり続けなければならないことを考えさせられる記事であった。

 この記事で連想したのがセブンイレブンである。イトーヨーカドーが米サウスランド社と契約し日本で始めたが、今は逆転し日本のセブンイレブンがサウスランドを子会社化している。変化対応ということで言えば、セブンイレブンは話題に事欠かない。POSシステム導入、公共料金収納業務、ATMを使った銀行業務など、常識破りな試みを次々と成功させてきた。最近は100円で挽きたてコーヒーが飲めるセブンカフェが話題を集めている。累計で4億杯を突破、コーヒーの地図を塗り替え調子の良かったマクドナルドを不振に追い込んだとも言われる。

 先述のTポイントはヤフーと提携しリアルとネットを越えたビジネスを模索。楽天もポイント利用や決済をリアル店舗に拡大し、それぞれがカードをベースにした新経済圏を作ろうと動き出している。この動きに待ったをかけるようにセブン&アイグループが動いた。グループのコンビニ、スーパー、百貨店で取り扱う全300万商品をいつでもネットで買え、どこでも受け取ることができるサービスを開始すると発表した。超巨大企業でありながらこの変化対応の速さには驚かされる。もっともっと速く動けるはずの自分はこの1年で何を変えられたか。根のはえた自分を反省するばかりである。