寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

2020年東京五輪に思う(2013年11月)

 今年の1010日は、最も遅い真夏日という異常な暑さであった。この日は長く体育の日として親しまれ、清々しい日であることが多かった。体育の日ができたのは、1964年の東京五輪の記念であった。先日10日の新聞には「世界中の青空を東京に持ってきてしまったような----」という懐かしい記事があった。2020年の東京五輪、願わくば日本の最もいい季節で、アスリートが最もパフォーマンスを発揮できるこの時期に開催して欲しいものであるが、現実はそう簡単ではない。米TVキー局の編成から、最も過酷な真夏になる。空前の黒字を出した1984年のロサンゼルス五輪を機に、商業主義に傾いた。開催時期や人気種目の開催時間も大手スポンサーの意向が優先される。

 またスポンサーの権利を守るため、五輪という言葉はもちろん、東京2020など連想させるものすべての使用が規制される。ただ乗りを決め込む輩を規制するのは仕方ないが、せっかくの盛り上がりに水を差すのは残念である。ただ前ロンドン五輪ではソーシャル元年ということでSNSが積極的に活用されたのは、新しい局面に入っているとも言える。時代の流れとどう折り合いをつけるか、難しい選択を迫られているのも事実である。

 これとは逆の発想で成功している事例がある。熊本県PRキャラクター「くまモン」である。こちらは申請すればロゴとキャラクターを無料で使用できる。無料にすることで、多くのアイデアが集まり、様々な企業を通じ大きな露出につながっている。遡れば、二酸化炭素削減を目指す国民的プロジェクト「チームマイナス6%」キャンペーンがあった。こちらは運動を広げるため、小泉純一郎首相が登場する告知物を自由にダウンロードし、企業が賛同を意思表示することができた。グーグルやフェイスブックなどのサービス、最近ではヤフーショッピングの無料化も同じ流れだ。規制か解放か判断は難しいが、相反するやり方が両立しているのは興味深い。

 もう一つ、2020東京五輪の決定は、それぞれの人が7年後を見据えることになった。7年後自分はどんな形で東京五輪を迎えるのか。好むと好まざるに関わらず、みんなが7年の中期計画をたてたのではないかと思う。