寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

わかもの、よそもの、かわりもの(2014年7月)

 いつの時代も停滞を打ち破り新しい時代を拓くのは「わかもの、よそもの、かわりもの」と言われてきた。今時の若い人、ゆとり教育世代は・・・とよく耳にするが、これは今に始まったことではない。昔から繰り返し、それぞれの世代が同じことを言われ、そして言ってきたことである。えっと思うのは、私達から見ると十分若いと思う世代の口からも、おじさんのようなコメントが出てくるのは少し驚きではあるが。とはいえ、サッカー日本代表の選手たちをはじめ、田中将大錦織圭松山英樹など、これまでと比べられない程多くの若い人たちが世界を舞台に活躍しているのも事実である。以前にも触れたことがあるが、若い人たちが活躍しているのは、スポーツだけでなく音楽やゲームなど様々な分野にわたっている。共通するのは、しがらみや組織にしばられない自由な分野で多くの人を輩出していることだ。私達の回りに目を移すと、「言われたことしかしない」「冷めている」と真逆な見方をさることが多い。本当にそうだろうか、この世代の人たちは、小さい頃からITや多くの情報に触れ、かってないほどクリエイティブな能力を備えている。また利己よりも利他を優先するのを普通に考える人たちのように思う。大人たちが作った枠組みの中では、収まりきれない。枠の中では波風をたてないように気遣う優しさを持つ人が多い。私達が良かれと思い強要していることや、これまでの価値観や枠組みが、彼らを狭い所に閉じ込めているのではないか。同世代でありながら、真逆の評価に分かれるのは、個人差ももちろんあるが、所属する世界のしがらみの差であると感じる。言い換えれば、新しい時代を切り拓きたいなら、新しい人たちのクリエイティビティを信じ、彼らが最も走りやすい環境を用意することが大切と感じる。わかもの、よそもの、かわりもに共通するのは、過去に縛られないということだろう。今の優しく人を傷つけることを嫌う若者には、勇気を持ってもっと多くの自由な裁量を与えたい。同時によそ者、変わり者に期待されるのは、多様性である。何かを変えるには今までと同じでは難しい。違いを認め合う事で新しいことに挑戦する。わかもの、よそもの、かわりものに、女性を加えた多様な人たちが活躍する企業や社会がイノベーションを起してくれると期待したい。