寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

眠るEC鉱脈を探そう(2015年4月)

 昨年末急に旅行を思い立ち、あきらめ半分でネットで検索した所、運良く香港の空き枠を見つけることができた。出発まで一週間もないくらいであった。ネットで探した案件を電話で旅行会社に申し込む。その後申し込み画面のメールが届き、必要事項を入力しカードで決済。予約メールが届き終了。旅行会社に行くこともなければ担当者と会うこともない。慣れた人には当たり前なのだろうが、こうした手配は初めてであまりの簡単さにびっくり。思い立った2時間後には決まっていた。手配したのはホテルと航空券。着いてからもネットだけが頼り。あらかじめネットで調べ、あとは現地でWiFiでつなぎ情報を取集。ネットがなければ、予備知識のない中でこれだけ旅行を楽しめなかっただろう。昔の海外旅行イメージしかなかった私にとっては、目から鱗の体験であった。

 その後こんな情報に出会った。総務省が毎月発表している「家計消費状況調査」だ。今年から新たにネットショッピングの項目が加わった。第一回の報告では1月にネットで買い物をした世帯は27.8%で、支払った金額は31757円。全体に占めるネット経由の支出割合は8.4%という結果であった。旅行関係費が19.5%で全体を牽引、次いで食料が15.9%、衣料履物が12.5%と続く。自分のわずかな経験を重ねて、なるほどと妙に納得。似た経験をした人が多いということだろう。スポーツの数値はなかったが、衣料履物に近いのではと推察する。

 長々と書き連ねたが、スポーツも含め凄い勢いでECに移行しているのは事実だ。が、私が勝手に伸びると予想したネットスーパーは総じて苦戦していることを見ると、価格や利便性だけではなさそうだ。同じECでも欧米や中国と違う日本特有の何か、スポーツ特有の何かがあるようである。その鉱脈を見つけるのは難しいが、いいように考えれば規模以外でも成功できるチャンスがあるということだ。ウーバーやエアービーアンドビーのように、これまでの常識や生活を一変させる何か、数年後には当たり前になっているような切り口を見つけたいものだ。私が新しい旅行体験に感動したように、顧客はそんなスポーツの新サービスを待っているはずである。