寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

2018-01-01から1年間の記事一覧

スポーツは心と体に効く(2016年6月)

縁あってアンプティサッカーに協賛をしている。アンプティサッカーは、手足の切断障がいを持つ人の7人制サッカーで、日常の生活やリハビリで使用されるクラッチ(杖)を使いプレーする。クラッチで全体重を支えながらボールを扱う姿や、フィールドを駆け抜…

勝つために倍の準備をする(2016年5月)

リオ五輪が迫り、各競技の選手選考が進んでいる。四年に一度の大会の代表権を獲得し、その上で世界に挑む。すべての選手はこれに合わせ体調やメンタルを整えてきたはずだ。その中で出場権を獲得し、メダルを目指すというのは想像を絶することだと思う。我々…

人と技術の新しい関係(2016年4月)

先日、米グーグルが開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」と、韓国のプロ囲碁棋士・イ・セドル氏が対戦した。結果は皆さんもご存知の通り5戦を戦い、人口知能が4勝。プロ棋士が1勝し面目を保ったものの、人と機械が逆転する時代がついに来たと感じ…

新しい船には新しい水夫を(2016年3月)

人は思考も行動も、慣れた習慣から抜けにくいものである。先日あるデジタルメディアを利用した広告(もはや死語ですが便宜上使います)で気づいた事がある。顧客との接点が、従来のメディアからネットに変わリ、当社でもこちらに比重を移している。表向きは…

最少が美しい(2016年2月)

唐突ですが、地球の生き物で最も進化しているのは何だと思いますか。普通に考えれば人という事になるのだろうが、私はイルカやクジラが一番のような気がする。人は道具や火を使う事で、他の生き物と全く違う進化を遂げた。コミュニティを築き集団で生きると…

言葉のチカラ(2016年1月)

何事にも名前やタイトルを付けることが大切である。名前が付くことでその存在がはじめて明らかになり、また誰かに伝えやすくなる。例えばサッカーでいえば、ゲーム中「プレス」「ワイド」「球際」「集中」など短い言葉でチーム全体の意思を確認する。素早く…

ランキングから読む未来像(2015年12月)

今年も1年を振り返る時期が来た。様々な団体から今年のランキングが発表されている。今年の流行語大賞は「トリプルスリー」と「爆買い」が選ばれた。流行語大賞は、私たちにもすっかり定着し、1年の中で何か話題になることがあると、これ今年の流行語かも…

大切なものは枠の外にある(2015年11月)

通勤で歩くよう心がけている。同じ道ではあるが、年に二度歩く側が変わる。日陰側から日向側に、日向側から日陰側にである(南北の道を歩いてます)。今年も肌寒くなり先日、日向側へ切り替わった。毎年、無意識に行っていることであるが、こうして振り返る…

ローカルとグローバルは隣どうし(2015年10月)

政府が観光立国の名の元、目標にした訪日外国人は1000万人を突破、2000万人も見える所に来ている。街で多くの外国語を耳にしたり、買い物のすごさを話題にしたのは少し前。最近は、絵に描いたような観光客だけでなく、限られた時間と予算を工夫しながら日本…

ITが世代交代を加速させる(2015年9月)

多くの産業がITの力で構造転換を迫られている。しかもそのスピードは全く経験のない速さだ。私が最初にネットに出会ったのが96年くらいで、当時ネットは手付かずの新世界に映った。早くやらないと誰かがやってしまう。毎日何をしようかワクワクしていたこと…

古い殻を脱皮するスポーツ(2015年8月)

先日の7月24日、ぼんやり朝刊をめくっていたが、いつもより多い広告に「えっ」とめくり返すことに。それらは東京2020オリンピック・パラリンピックのパートナー企業のものであった。読み進めると5年後の7月24日が開幕日であった。新国立競技場の白紙撤回や…

お金で買えないもの優先(2015年7月)

先日、リゾートホテルでゴルフを楽しむ機会があった。会員制のリゾートで平日ということもあり、年齢の高い夫婦やグループが目立った。リタイア後、ゆったりと夫婦や仲間でコースを回るのは幸せそうで、こうなりたいものだと感じた。が、これを実現するには…

リスクとチャンスは裏表(2015年6月)

スターバックスがよく例に出されるが、顧客はコーヒーを飲みたいからでなく、スターバックスが提供する空間、ソファー、音楽などを気に入って訪れる。総じてスターバックスは顧客に体験を提供していると言われる。これは新しいことでなく、意識せずに私たち…

無理しても一流に触れよう(2015年5月)

運良くチケットを入手し、ポール・マッカートニーのジャパン・ツアーに行ってきた。昨年は来日しながら体調不良で公演中止に。1年ぶりの来日で今回は大阪発となった。6時半の開演予定が、なかなか始まらず心配をしたが45分程遅れで開幕。せっかちな関西人…

眠るEC鉱脈を探そう(2015年4月)

昨年末急に旅行を思い立ち、あきらめ半分でネットで検索した所、運良く香港の空き枠を見つけることができた。出発まで一週間もないくらいであった。ネットで探した案件を電話で旅行会社に申し込む。その後申し込み画面のメールが届き、必要事項を入力しカー…

ストーリーが気持ちを揺さぶる(2015年3月)

最近、記憶が怪しくなっている。頭でわかっていても言葉が出てこない。同年代が集まった会話は、あれとかそれとかでも妙に通じるのだが、周りからは意味不明、そんなことが増えた。忘れるのも能力の一つと開き直っているがこれまた迷惑な話だろう。人には記…

コミケに学ぶ次世代のあり方(2015年2月)

「知られざるコミケの世界」という特番をNHKがやっていた。コミケという言葉は聞いたことがある程度で、マニアの間で盛り上がっているイベントくらいの認識であった。テレビを通じてであるが、その規模や熱気を知ると”知られざる”というタイトルはファンの方…

1945年の終戦と2020年の五輪(2015年1月)

毎年1月のコラムは、元旦の朝刊について書くことが多い。どの新聞社も入念に準備した特集が多く、これからを考えるヒントにあふれている。今年はどんな刺激に出会えるか、早めに一人起き分厚い朝刊を読むのが、ささやかな楽しみの一つになっている。 2015年…

科学の進歩とその忘れ物(2014年1月)

毎年新年の朝刊を楽しみにしている。少し早めに起き、未来を予測する特集をゆっくり読むのが恒例になっている。昨年は位置情報とITが社会を変えるという話。一昨年は新世代の若者が柔らか頭とITで、世界の問題を解決するという話が印象に残っていた。今年もI…

人間万事塞翁が馬(2014年12月)

毎日の通勤に使う電車が、最近めでたく全線高架に変わった。数年をかけて順次高架工事を進めていたのだが、最後の区間で巨大な工場が私の目の前に突如として現れた。眠気まなこで通う朝、見たことのない風景に「えっ今どこっ」と目が覚めたほどである。30年…

みんな同じは気持ち悪い(2014年11月)

様々なものがネットにつながり、膨大なデータが集まるようになった。またそれを処理する能力も飛躍的に進化した。このビッグデータは第二の資源とも呼ばれる。石油が私達の生活を変えたように、ビッグデータはそれ以上の変化をもたらすと期待される。データ…

共通規格とローカライズ(2014年10月)

ユニクロが吉祥寺に都内最大級800坪の新店を開店した。この店舗が注目されているのは、規模でなく初の地域密着型という点だ。ご存知の通りユニクロはファストファションの代表で、全国どこでも同じ商品、同じ価格、同じ環境で買い物ができる安心感を売り物に…

ふたつの「レ・ミゼラブル」(2014年9月)

1985年のロンドン初演からミュージカル史上最長ロングランを誇る名作「レ・ミゼラブル」。日本でも東宝が1987年に初演、歴代の役者さんがキャストに名を連ね、ご覧になった方も多いと思う。2012年にはヒュー・ジャックマンが主演した映画版「レ・ミゼラブル…

置き換えの習慣(2014年8月)

1カ月にわたって開催されたワールドカップもドイツの優勝で幕を閉じた。日本は大会前の評判は高かったが、残念ながら予選リーグで勝利することなく敗退した。敗因や今後については、メディアやネットだけでなく人が集まる多くの所で議論されている。サッカー…

わかもの、よそもの、かわりもの(2014年7月)

いつの時代も停滞を打ち破り新しい時代を拓くのは「わかもの、よそもの、かわりもの」と言われてきた。今時の若い人、ゆとり教育世代は・・・とよく耳にするが、これは今に始まったことではない。昔から繰り返し、それぞれの世代が同じことを言われ、そして…

ひと回りして、やっぱここがいい(2014年6月)

グランモール大阪やハルカスなど、大阪も東京に負けじと開発が進む。産官学連携や日本一高いビルなど話題も豊富で、集客も上々のようである。こうした所もいいが、今一番行ってみたいと思わせてくれる所が出てきた。文の里商店街だ。大阪の南に位置する下町…

感動は主と客の共同作業(2014年5月)

”JAPANIES ONLY”という垂れ幕を放置した責任を問われ、Jリーグ史上初の無観客試合を行うことになった浦和レッズ。人種差別のコメントを擁護する意識など全くなかったと思う。差別に対する認識のなさが、責任問題になった。この意味は大きい。意思を表示した…

絞ることが結果的に広がる(2014年4月)

商品企画や販売を考える際、少しでも広く、あれもこれも外せないと欲張ることが多い。得るよりも失う方がショックが大きいからだ。理屈でわかっていても、失う被害を最小限にしたいという意識が働いてしまう。また打合わせや稟議を重ねる中で、参加者の意見…

小保方さんと山中さん(2014年3月)

理化学研究所の小保方晴子さんらが開発したSTAP細胞のニュースは衝撃的であった。まだまだこれからの研究だろうが、夢の万能細胞がこれまでの常識を根本から覆すシンプルな手法で開発された。しかもその中心人物が日本人の若い女性研究員という痛快なニュー…

外へのチャンス、外からのリスク(2014年2月)

夢物語だった眼鏡型のグーグルグラスが発売されたり、ジョウボーンやナイキのリストバンド型活動量計の普及により、今年はウェアラブル元年と言われている。先日アメリカで行われた家電見本市では、ソニーがライフログツール「Core」を発表し、リストバンド…