寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

ランキングから読む未来像(2015年12月)

 今年も1年を振り返る時期が来た。様々な団体から今年のランキングが発表されている。今年の流行語大賞は「トリプルスリー」と「爆買い」が選ばれた。流行語大賞は、私たちにもすっかり定着し、1年の中で何か話題になることがあると、これ今年の流行語かもと、1億総審査員と化するほどである。しかし今年は選考結果に異議ありと、SNSが盛り上がっている。「爆買い」は腑に落ちるが、「トリプルスリー」はどうなの、という人が多いようだ。野球好きには馴染みがあっても、興味がない人には意味不明ということだ。これを見て感じるのは、音楽でもレコード大賞が国民誰もが知るその年の歌を選ぶ時代があったが、過去の話。世代や嗜好で、たくさんの小さなヒットの時代になっている。それが流行語にも起こったと考えれば納得がいく。もはや一率のランキングに意味はないということかもしれない。もう一つ、賛否両論の評価は限られた著名人やメディアのものであったが、今は誰もが発信できるようになっている。そんな流れを改めてこんな所でも感じる。

 また日本経済新聞社の日経MJヒット商品番付けも発表された。東西の横綱は、北陸新幹線ラグビー桜ジャパン、以下もなるほどと思うものが並ぶ。私の印象は、商品が非常に少ないということ。サービスや現象を表わすものが目立った。東西、横綱から前頭5枚目まで各10、計20個が選ばれている。あのメーカーのこの商品と特定できるものはごくわずか。ヒット商品番付けというより、ヒット現象番付の方がふさわしいように思う。世の中を変えるのは1社の商品でなく大きな流れやサービスに向かっているということだろう。日経のコメントでも、今年は友人と熱狂・共感できる体験重視の「コト消費」に勢いがあったとしている。そういう意味では、次の時代に踏み出す記念すべき年だったのかもしれない。スポーツでは、先のトリプルスリーだけでなく、ヒット商品番付けでもラグビー桜ジャパン、夏の甲子園の2つ、修造カレンダーを入れれば3つが選ばれている。スポーツが持つ影響力は、我々が考えている以上に大きい。2020年のカウントダウンも進んでいる。この追い風を使わない選択肢はないはずである。