寿円佳宏 wonderland

スポーツ業界紙「スポーツフロンティア」に掲載しているコラムをブログで紹介。

スポーツウェアは究極の仕事着(2012年7月)

 今年もクールビズの季節がやってきた。昨年以上に電力不足が深刻になり、今年はスタートを早めたり,ポロシャツやアロハシャツなどの着用を認めるスーパークールビズを取り入れる所も増えている。また電力不足の緊急対応を名目に、原発の再稼働も限定的に認められそうだ。該当地域の人たちにとっては、早くからわかっていた事実で、あなたの準備不足をどうして私たちが、という心情だろう。助成金があるとはいえ、電力を使わない地域の人達が、たくさん電力を使う他地域の人達のために犠牲をしいられるのは不条理としか言いようがない。電力不足が待ったなしの状態だということは理解できるが、いつ終わるとも知れない福島の悲惨な状況をみれば、簡単にハイどうぞとは言えない。今メディアを賑わせている原発問題も消費税増税も、様々な立場から賛否両論があるが、どちらの意見も自分たちに都合の良い事だけを持ち上げ、さも正論ぽく見せているのは、いかがなものかと思う。どの道を選ぶにしろ大きなリスクを背負うことは確かである。選ぶということは、同時にマイナス面も覚悟するということだ。一部地域の人たちや、未来の人たちにツケを回し、本質を先送りする国や人に未来はないかもしれない。

 クールビズの話をするつもりが、勢いで横道にずれてしまったが、言いたかったのは、暑さ寒さ対策だけでなく、1年中最も快適で動きやすいスタイルで働きたい。そう考える人は多いはずだ。また、これからは「働く」と「遊ぶ」の境が低くなる。さらに「会社」か「個人」かの境もわからくなりそうである。最近はモバイルやクラウド環境が充実し、場所を問わず仕事をするノマド遊牧民)と呼ばれる人も出現している。決まったオフィスは必要なくなり、ネット環境さえあれば街のどこもがオフィスに変わるのはそう遠くないだろう。動きやすく快適で、メインテナンスも簡単なアウトドア&スポーツ品は、そんな人達にとって最も適したビジネスウェアと言える。ミズノが自社品を活用した働き方を実践すると共に、世に新しい働くスタイルを提案しているのは素晴らしい試みだと思う。その先に、広大な市場が待っていると考えるのは、いささか楽観的すぎるだろうか。